「なつみ」というみかんをご存じですか?
「なつみ(南津海と書きます)」は、「カラマンダリンオレンジ」と「ポンカン」の掛け合わせで誕生した品種。
見た目がゴツゴツしているのですが、手で剥いて食べられるみかんで、中の皮まで柔らかいため、非常に食べやすいみかんでもあります。
実はこの「なつみ」、元々は「温州みかん」として開発されたのですが、他のみかんと同じ出荷期間の冬に食べたところ「すっぱい!失敗作だったか…」と、木に成ったまま放置されていたところ、春になってから鳥が群れで襲来。
「すっぱくて食べれなかったみかんを食べている」という状況に。そこで何気なく食べてみたら「すごく甘くて美味しい!」
「そうか、このみかんは春まで木の上で完熟させると、とてつもなく甘くなる。(糖度13~4度くらい)」という事を大発見したという経緯があるみかんなのです。
そこで、「夏(初夏)に食べられるみかん」という事で「なつ(に美味しい)み(かん)」と名付けられました。
初夏に味わえる温州みかん「なつみ」。
そんなに美味しいみかんなら、全国各地のみかん農家が盛んに作って…という事になりそうですが、そうはイカのなんとやら。実は栽培数が非常に少ないみかんだったりするのです。
その理由は「栽培期間が長すぎる」ということ。
他の温州みかんと同じ5月初旬に、この「なつみ」も花を咲かせるのですが、11月ごろに収穫できる温州みかんと比べて、「なつみ」の収穫時期は半年も遅い「5月」。
そうです。この「なつみ」は、丸ごと1年間も栄養を吸収し続けて育つという、農家泣かせの果物なのです。
そんなに手間暇かかる「なつみ」ですが、「原口早生みかん」を発見した原口さんの農園「原口果樹園」では、しっかりと「なつみ」を栽培しています。
原口果樹園があるのは、長崎県西海市の山々が深い場所。近くに「七ツ釜鍾乳洞」がある事でも有名ですが、農業的に重要なのは「鍾乳洞」が近くにある=大昔のサンゴ礁(石灰質)が多い=「炭酸カルシウム」が豊富というポイント。 つまり、この場所は「甘い果樹が育つカルシウムが豊富な土壌」であるのです。
恵まれた土壌というアドバンテージに加えて、日照時間や与えた水の量、土壌の種類や数学・化学的分析など様々な研究を行っている原口さんなら「なつみ」も簡単に栽培を…と思っていましたが、実は原口さんでも難しい品種との事。
「まあ、これは農家泣かせのみかんなんだけど、温州系のみかんで最も贅沢で美味しい柑橘類だと思うよ。」と、原口さんもイチオシの品種。 「うちでは、外見が綺麗になるようにハウスで栽培しとるとばってん、これこそが本当の”温室育ちのお嬢様”たい。」と、苦笑いする原口さん。
”温室育ちのお嬢さま”と表現される柑橘類「なつみ」は、「温州みかん」と同じ系統のみかんで、そのまま手で皮を剥いて食べる事が出来る、とても食べやすい品種。
その糖度は「13~15度」になる事も多いという、非常に甘いみかんなのですが、その代わり「酸度」も高いという特徴も持っています。(まさしくわがままなお嬢様)
原口果樹園では、その「なつみ」の酸度を抜く為に、収穫時期をギリギリまで待つ「木成熟成法」で栽培しているのです。その収穫タイミングを見計らうのは、天気でも日数でもなく、なんと「原口さん自身が実際に自分で食べてみる法(原口実食法)」という。
同じ「なつみ」の木によっても成長度合が違うため、頃合いになった果樹から収穫していき、さらに酸度をさらに落として「心優しいお嬢様」にするために追熟を行った後、出荷されるという。
栽培に時間がかかるが、その高い糖度が特長の贈答用高級柑橘「なつみ(南津海)」。
原口果樹園が渾身を込めて育て上げた、この柑橘類を「特別な贈り物」として、味がわかる方へ贈ってみませんか?